毎日何気なく使っている業務用エアコン。実は、定期点検が義務付けられているのをご存知でしょうか?
これは、フロン類の回収や処理関係の法律『フロン回収・破壊法』が改訂され、
平成27年4月1日に『フロン排出抑制法』が施工されたことに端を発します。
ここではフロン排出抑制法と、それに基づく定期点検についてご紹介していきます。
フロンについて
フロンとは、エアコン内部を循環して空気の冷暖を行っているエアコンの核ともいえるガスのことで、特定フロンと代替フロンの2種類が存在します。
この特定フロンには塩素が含まれていたため、オゾン層破壊の問題が発生し、製造が規制され、2020年には生産が全廃となります。
また、特定フロンに代わる代替フロンには、塩素は含まれていません。
お使いのエアコンが10年以上前に製造されたものであれば、全廃になる特定フロンが使用されている可能性があります。
フロンガスや特定フロンに関して、詳しくは以下のページをご覧ください。
フロンガス(冷媒ガス)
https://ac.fj-tec.co.jp/空調用語集/フロンガス/フロンガス(冷媒ガス) フロンガスとは、エアコン内を循環しているガスのことす。 冷媒ガスとも呼ばれ、エアコンではこちらの呼び方のほうがポピュラーです。 熱源機器であるチラ・・・View More
R22冷媒は2020年に全廃されます
https://ac.fj-tec.co.jp/お役立ち情報/r22冷媒は2020年に全廃されます/皆さんのお宅や職場に設置されているエアコン、何年前に製造されたものでしょうか? 10年以上前に製造されたエアコンであればご注意ください。 その時期に製造されたエアコンに多・・・View More
フロン排出抑制法とは?
フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)は、フロン類の製造から廃棄までライフサイクル全般に対して包括的な対策を実施するため、フロン回収・破壊法を改正し、平成27年4月に施行された法律です。
エアコンや冷凍冷蔵機器等に使われるフロンガスは、オゾン層破壊と温室効果が高く、世界的にも問題になっています。
特に、大気中に放出されるフロンガスの殆どが、使用時における経年劣化などによる設備不良等の漏えいによって引き起こされており、これを規制するためにできたものとも言えます。
この法律の1番のポイントは、該当する設備を使用する管理者に対しての責任を定義づけたことにあります。
また、令和2年4月1日からは、『改正フロン排出抑制法』が施行され、機器を廃棄の際フロン類を回収しないと即座に罰金が科せられるようになります。(参照:「フロン排出抑制法」ポータルサイト|環境省・フロン排出抑制法対策ホームページより)
管理者と当該製品
原則として、当該製品の所有権を有する者(所有者)が管理者となります。※
(例外として、契約書等の書面において、保守・修繕の責務を所有者以外が負うこととされている場合は、その者が管理者となります。)
当該製品は、業務用の空調機・冷蔵機器・冷凍機器(第一種特定製品)が対象で、これらすべてに義務が発生します。
所有及び管理の形態 | 管理者となる人 |
---|---|
自己所有・自己管理 | 設備を所有する人 |
リース・レンタル | 所有者ではなく日常的に使用、管理している人 |
他人所有・他人管理(賃貸など) | テナント利用者でなくビルのオーナー |
分類 | 主な当該製品 |
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業務用エアコン |
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冷蔵機器 冷凍機器 |
|
いざというときにトラブルにならないよう、関係者同士で管理責任の所在を明確にしておきましょう。
(※管理者の詳しい定義に関してはフロン排出抑制法」ポータルサイトQ&A|環境省をご覧ください。)
管理者に課せられる
6つの義務業務用エアコンの管理者には、大きく分けて6つの義務が課せられます。
適切な設置、使用環境維持の義務
- 機器に損傷をもたらすような振動源の周囲に設置しない。
- 機器の周囲に点検・修理のために必要な作業空間を確保する。
- 機器周辺の清掃をおこなう。
管理者はこの3つのポイントを守り、適切な設置・使用環境維持に努める義務があります。
点検の義務
管理者は、エアコンや冷凍冷蔵機器の定格出力に応じて、決められた点検を定期的に行う必要があります。
点検には、誰でも実施可能な『簡易点検』と、有資格者が行う『定期点検』の2種類あります。
点検対象機器 | 全ての業務用エアコン・冷蔵冷凍機器 |
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点検頻度 | 3ヶ月に1回以上 |
点検実施者 | 誰でも可※安全に実施可能な場合 |
点検項目 |
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※詳しくは、簡易点検の手引き 業務用エアコン編|環境省をご覧ください。
点検対象機器 |
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点検頻度 |
|
点検実施者 | 有資格者(第2種冷媒フロン類取扱技術者) |
点検項目 | 定期点検は、『十分な知見を有する者』が実施する必要があります。 具体的には、冷媒フロン類取扱技術者(資格者)となり、依頼する業者は充填回収業者(登録業者)である必要があります。 |
※詳しくは、十分な知見を有する者について|環境省をご覧ください。
定格出力の確認方法
定格出力は、ほぼすべての機種で、室外機についている銘板シールにて確認ができます。(室外機の側面または前面に貼付。)
フロン排出抑制法の『圧縮機用電動機定格出力』は、『圧縮機』で始まる項の数値が該当です。
漏えい時の義務
管理者は、設備を整備する者や専門業者からフロン漏えいの報告をされた場合、速やかに漏えい箇所を特定し修理する必要があります。
修理を行わずにフロンを充填することは禁止されています。また、フロンを使用した機器を廃棄する際など、適切に回収せず放出することも禁止されています。
漏えいを疑う3つのサイン
冷たい・温かい風が出ない。
(冷暖房時)
室外機の配管や熱交換器の一部に
霜が付いている。
室内機の熱交換器の一部に
霜が付いている。
フロンガスの漏えいを確認した場合、速やかに専門の業者に相談しましょう。
もちろん、弊社でもご相談を承っております。
第二種冷媒フロン取扱技術者も多数在籍しておりますので、安心してお問合せください。
記録・保存の義務
管理者は、適切な管理を行うため、空調機の点検・修理やフロンガスの充填・回収などを行った際は、機器1台ごとに履歴の記録と保存をする必要があります。
保管が義務付けられているものは、3年間保管が必要なもの・機器廃棄時まで保管が必要なものの2つの記録です。
委託確認書 | フロン回収行程管理票のA票 |
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再委託承諾書 | フロン回収行程管理票のB票(間に別の業者が入る場合) |
委託確認書兼引取証明書 | フロン回収行程管理票のE票 |
漏洩点検記録簿 | 適切な機器管理を行うため、機器の点検・修理、冷媒の充塡・回収等の履歴を記録・保存し、機器整備の際に、整備業者等の求めに応じて当該記録を開示する必要があります。 |
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充填証明書 | 充填業者が30日以内に管理者に提出する書類 |
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回収証明書 | 回収業者が30日以内に管理者に提出する書類 |
点検には、漏フロン排出抑制法 点検記録簿を利用すると便利です。
漏えい時の報告義務
管理者は、漏えいしたフロンの量をGWP(地球温暖化係数)で換算し、事業者としての合計が1,000トン以上の場合、管理者の情報や漏えい状況などを記入し、事業所管大臣へ提出が必要になります。
フロン漏えい量の計算式
( 充填量(Kg) – 機器整備時の回収量(Kg) ) x 地球温暖化係数(GWP) ÷ 1,000 = フロン類算定漏えい量(CO₂-t)
廃棄時の義務
管理者は、空調機を廃棄する場合に、第一種フロン類充填回収業者に依頼し、フロンガスを回収したのち機器を廃棄をしなければなりません。
また、フロンガスの回収を依頼した際は、工程管理票を交付しなければなりません。
詳しくは、業務用エアコンの撤去・処分についてのページをご覧ください。
業務用エアコンの撤去・処分に関して
https://ac.fj-tec.co.jp/エアコンの撤去処分/業務用エアコンの処分/弊社では、全ての業務用エアコンにおいて、入替えに伴う古い機器の撤去処分を承っております。 ここでは、業務用エアコンの撤去・処分に関して詳しく解説していきます。 業務用エア・・・View More
違反した場合は罰則も
法律として義務付けられてるので、違反した場合は罰則があります。
点検義務を怠らないようにしましょう。
- フロン類をみだりに放出した場合
1年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 点検義務や漏えい時の対応・記録の保管に違反した場合
50万円以下の罰金
- 都道府県の立入検査の収去の拒否・妨げ・忌避した場合
20万円以下の罰金
- フロン算定漏えい量の未報告・虚偽報告の場合
10万円以下の罰金
- フロン類回収時の行程管理表の交付を怠った場合
50万円以下の罰金
点検は義務です!
しっかり行いましょうフロン排出抑制法が施工される以前に設置されたものも定期点検の対象となります。
今現在使用している業務用エアコンが、どの点検に該当するのかしっかりと確認し、定期点検をしっかりと行いましょう。
また、弊社には、冷媒フロン類取扱技術者も複数在籍しております。
ご相談はすべて無料で承っておりますので、ご不明な点などございましたら、お気軽にお問合せください。
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